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被災者は精神面では福祉、雇用、心のケアーなどの分野で、身体面では過労による病気や、診療に関する問題が発生していますが、衣食に関する相談は皆無でした。
被災住民は、月日の経過とともに自己資金を蓄えられるようになったことから住宅資金を借りる人は少なくなりました。また、住み良い安心とゆとりのある復興への意思転換がなされるなかで恒久住宅が望まれています。
しかし、復興計画が具体化し始める一方で、大きな打撃を受けた被災者の中には、今なお将来の生活再建への展望を見いだせない人も少なくないことを申し上げて、「なんでも相談所」6か月間の活動の結びといたします。(行政相談通信??66「兵庫」より)

 

特別行政相談に参加して

梶文子
(高松市)

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昨年4月14日、高松市西春日団地で行われた、阪神大震災の被災者を対象にした「特別行政相談」に参加しました。近畿管区行政監察局副監察官、県弁護士会、四国行政監察支局、行政相談委員、計11名で被災地以外では、全国に先駆けての実施でした。
当日はあいにくの雨で相談者が少ないのではと案じてはいましたが、支局の方の並々ならぬPRにより、39世帯41人が次々訪れ、受付が間に合わない程でした。そのうち報道関係の方もみえ、会場は大混雑、一時は椅子がなくなり立って対応する場面もありました。
相談内容は、義援金の申請と受取り方10件、生活資金の借入について7件、県営住宅の入居期間については、6件、年金と保険料の減免関係6件など、合計57件あり、即答できない問題は後で個々に回答することにしました。東灘区の方は「心配していた事が解決でき安心しました。」と心から喜ばれ、他の相談者も笑顔で足どりも軽く帰っていかれました。全く知らない土地の暮らしは辛く、その上今まで住んでいた所の情報も分からない焦燥感や不安は私の想像を超えるものでした。
今年の4月、阪神方面を尋ねた折りの神戸は交通機関や道路、公共の施設の復興は目覚ましいものでしたが、庶民の暮らしの場は、傾いた家、放置の空地が随所にあり、仮設住宅が軒を連ねていました。暑さ寒さが身に沁み、その上、不便な仮設住宅に余儀なく住んでいる被災者に政治の力を示して下さい。
震災直後は耐震家屋の議論が盛んでしたが、最近の新聞は『阪神の耐震補強はスローペースで、建物も戦前よりも悪い建て方が多い。施工業者のモラルの低さもあるが、行政は建築審査員を増やし、審査を厳しく』とありました。どうか弱い者泣かせにならぬ行革をして欲しいと思います。

 

 

 

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